報告:実践的研修におけるデジタルバッジのトライアル

デジタルバッジとは

デジタルバッジは国際標準規格のデジタル証明書として、現在までに世界中でおよそ 7000 万個発行、活用が広がっております。日本国内でもデジタル庁をはじめ、大学や企業にも導入され始めているところです。今回は、研修会での合格証明書としてトライアルにて導入いたしました。

トライアルの概要

NPOわれらはふるさと医療応援団では、大阪府薬剤師会からの委託を受け、薬剤師の在宅ケアに役立つフィジカルアセスメントの研修を担当いたしました。その際に、研修に単に参加するだけではなく、事後テストに合格することを参加者に求めて、合格者にはデジタルバッジ(オープンバッジ)を付与いたしました。シミュレータ(フィジコTM)等を用いた実技研修は、2023年3月に「在宅管理の実地に生かせるフィジカルアセスメントとバイタルサイン」を大阪大谷大学にて、行いました。当日の研修後、e ラーニングシステムを用いて復習テストを実施して、合格者にはデジタルバッジ(オープンバッジ)を付与いたしました。
 実技研修だけでなく、その振り返りとしてe ラーニングシステムを導入することで、それにより知識や概念の理解が深まり、より定着することにつながることが期待されます。
 システムに関しましては、(株)デジタル・ナレッジ社の e ラーニングシステムならびにデジタルバッジ(オープンバッジ)発行システムを同社の協力を得て実施しました。

 (株)デジタル・ナレッジ HP  https://www.digital-knowledge.co.jp/
  デジタルバッジについて     https://www.digital-knowledge.co.jp/product/openbadge/

講習会の様子

実施内容

e-ラーニングシステムについては、研修会の事前のインストラクター向け学習システムと、研修会の後、利用する受講者向け学習システムを構築いたしました。

①インストラクター向け
・研修会前にe ラーニングシステムにて、オンデマンド教材で研修指導法を学習しました。
・インストラクターとしての実績証明としてデジタルバッジを付与いたしました。
・インストラクターが研修後アンケートに回答するシステムとしても活用しました。

②受講者向け
・研修会終了後、e ラーニングシステムにてテストを受験しました。(テストは何度も受験できる形式にいたしました。) ※テストは全 25 問、合格基準は 80%としました。
・オンデマンド教材で振り返り学習としても活用できるようにしました。。(テストの解説動画も配信いたしました。)
・研修後の合格証明として、デジタルバッジを発行しました。
・研修後アンケートにこのシステムを通じて協力いただきました。

                            

eラーニングシステムと教材について

①e ラーニングシステムの受講者用参考画面

 インストラクターはインストラクター用教材のみ、受講者は受講者用教材のみが表示される設 定になっております。対象の役割や立場によって、講座を割り当てるシステムです。

②インストラクター向け
 当日使用するスライド、動画、そして、受講者が受講するテストの検証問題を準備して、インストラクターとして役割が果たせるように研修会の準備をいたしました。 以下、準備した教材等の参考画像です。

e ラーニングシステムの画面          
教材一覧
      当日スライド(PowerPoint 資料)                       プレゼン用(動画)              

③受講者向け

 研修会受講後のテスト、復習用教材を準備し、研修会以外でも復習をして知識定着へ向けたシステムづくりをしました。
 また、当日の全体講習の内容も、当日と同じスライドを用いて教材として、システムにアップロードしました。希望する受講者には当日の要点を思い出しながら振り返りをしていただきました。
 右は、参考画像です。

教材一覧                                                             テスト問題           
復習用教材一覧                                       当日の全体講習(動画)            

実施結果

① 受講結果実際に管理者画面で確認できる結果が以下の通りとなります。

 インストラクターのみなさんは忙しい中でも、約 70%の方が事前に学習していただ くことができました。管理者 2 名を除くと約 80%の受講率となります。

インストラクター向け:事前学習用講座   

 受講者のテストは任意受験といたしました。このテストには合否設定がされており、全 25 問、合格基準は 80%としました。テストに合格すると合格証(研修会の参加証)として e ラーニングシステムからデジタルバッジが発行されます。初めての試みでしたが、約 60%の受験率となりました。

任意テスト選択画面

e ラーニングシステムで、下表のように全体結果一覧と個人結果を見ることができます。

 全体結果一覧では、実施回数、実施時間、点数、合否、学習日など、個人結果では、どの 問題を正解したかや全体平均点の比較をレーダーチャートで確認することができます。

全体結果一覧

受講者:復習用教材(任意受講)
 復習用教材を提供することで、研修会当日だけでなく、自分の好きな時間に、自分のペースで、必要な箇所を復習することが可能になります。
約 30%の受講者が復習教材を活用していました。

復習用教材選択画面        

 右の画像が、今回発行したデジタルバッジです。この画像の中には、研修名、発行団体、発行日、受講者名などのデータが埋め込まれています。また、ブロックサーツというブロックチェーン証明技術が使われていますので、偽造や改ざんができない仕様となっております。

 約 60%の受講者の方がデジタルバッジを取得することができました。

今回発行したデジタルバッジ

② アンケート結果
 e ラーニングシステムを導入してみて、初めての試みとしては回答数、回答率ともに予想よりも高い数字となりました。
・インストラクター向け:終了後アンケート 86%
・受講者向け:受講後アンケート 61%
・インストラクター・受講者向け:デジタルバッジについて 48%
 デジタルバッジに関しては 9 割以上の方が初めて耳にするという状況でしたが、システムとして賛成の方が多かったです。ただし、初めてのことでしたのでシステムを理解できていない方も少なくなく、今後、普及するためには、社会的な活用方法や個人としての活用方法などの周知の必要性を感じました。 

アンケート結果選択画面